茶道とは何を学ぶのか?
茶道のお稽古の最終目標は、茶事(お客様を招いてお茶で心を込めたおもてなしをする事)ができるようになることです。
茶事の基本の流れ(風炉)を簡単に表すと、
部屋を整えお客様をお迎えする
懐石料理を出す
炭でお湯を沸かす<初炭手前>
上生菓子で濃茶を出す<濃茶点前>
炭をなおして湯の具合を整える<後炭手前>
お干菓子で薄茶を出す<薄茶点前>
お客様のお見送り
もてなす側(主)ともてなされる側(客)がいて、互いに心を通わせ合う時間と空間を共有する。食事やお茶と共に美術工芸品や自然の豊かさなども取り込み、主客一緒に味わうのが茶事。
茶事は、洋風にいえば、前菜やスープなど作りたてのものをお出ししてお酒と一緒に楽しんで頂くことから始まり、最後にデザートとお茶2種で締めくくる、和風のフルコースです。
所要時間は4~5時間。
お稽古では、茶事を催しておもてなしをするための作法、また、招かれた時の客の作法をみにつけるために、長く伝えられてきた点前という形を流れを区切って一つずつ学びます。
茶事が最終目標といっても、どこまで学びたいかは本人次第ですし、習い始めは何をどこまで学びたいかもわかりません。
お茶の雰囲気を知りたい、美味しい和菓子とお茶が飲みたい、お茶を人に点ててふるまいたい、濃茶を飲んでみたい、茶事を経験してみたい、懐石を作れるようになりたい、着物を着る場所を作りたい、海外に行くのに茶道を知っておきたい、など習い始める目的はそれぞれ。
幅広く様々なことを学べること、
習っていく内に形の上でも、精神的な上でも見えてくるものがあること、
何歳であっても、いつからでも始められて、途中で休むこともできて、また始めることができること、
何より美味しい和菓子とお茶で心を落ち着かせ整えることができること、
これが茶道のよいところです。
私自身、初めから茶事をしたいと思って茶道を始めたわけではありません。
大学時代に日本文化を身につけたいと茶道研究会に入会、友人と過ごす楽しさと、茶室の雰囲気、和菓子の美味しさに魅せられて、細く長く続けてきた結果、今に至ります。
薄茶がスムーズに点てられるようになった時、濃茶を初めて練った時、炭をつぐという経験をした時、茶会でお点前デビューをした時、と茶事の流れの中の一つ一つを時間をかけて経験し、都度感動しながら学んできました。
稽古、茶会や茶事を経験していくうちに、ある時、ばらばらに学んでいた作法の意味が面白いように繋がっていき、茶道の本当の意味での楽しさ、素晴らしさに気づき、その時自分でも茶事を催したくなりました。
まずは茶室という空間で、茶を点てる、茶を飲むということを経験してみて下さい。
茶道に触れる中で、茶室でお稽古する中で、それぞれに感じ、考え、自分なりの学びたい茶道を見つけて頂けたらよいと思います。
私はそのお手伝いがしたいと思い、『茶遊庵』を開きました。
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